上級医療情報技師とは

２０１７年１２月吉日
一般社団法人日本医療情報学会
医療情報技師育成部会

　１．はじめに

　医療情報システムの導入・運用に必要とされる医療や情報処理技術等の基本的な知識や技術を身につけた医療情報技師能力検定試験に合格された方は、これまでに１９，０００名を超え、医療機関や医療情報システムを提供するベンダなどで幅広くご活躍いただいております。

　一般社団法人日本医療情報学会　医療情報技師育成部会では、医療情報技師より高度な資格として「上級医療情報技師」を創設し、２００７年度より「上級医療情報技師能力検定試験」を行っております。 医療情報技師の方は、さらなる能力の向上を目指して、この「上級医療情報技師能力検定試験」に是非挑戦してみてください。

　２．上級医療情報技師の定義

　医療情報技師育成部会では、上級医療情報技師を「保健医療福祉の質と安全の向上のために、幅広い知識と豊かな経験を背景として、全体最適の観点から保健医療福祉分野の情報化と医療情報の利活用を総括的に推進できる医療情報技師」と定義しています。

　３．上級医療情報技師に求められる能力

　上級医療情報技師には、 医療情報技師としての知識と経験を活かし、全体最適の観点から保健医療福祉分野の情報化と医療情報の利活用を推進できる能力が求められます。そのなかでは、医療情報技師に求められる3C(Communication, Collaboration, Coordination) の資質に加えて、次のような能力が求められます。

1. 施設管理者層からの要求を引き出して、本質的な内容を理解し、現場の要求を考慮しつつ解決策を立案できる能力
2. 医療機関における情報システムのライフサイクル（企画、構築、運用、保守）を統括し、そのために必要となるチーム内・チーム間のマネジメントができる能力
3. 保健医療福祉分野におけるデータの管理と分析・利活用ができる能力
4. 論理的に物事を考え、その内容を適切に相手に伝えることができる能力
5. 情報処理技術を理解し、活用できる能力
6. 情報セキュリティについて理解し、対策を講じることができる能力
7. 保健医療福祉分野などに対する幅広い知識
8. ユーザ教育や人材育成を主導的な立場で実践できる能力

　医療情報技師育成部会では、これらの能力を達成するために必要な具体的な内容について、上級医療情報技師の到達目標（GIO・SBOs）を示しています。

「上級医療情報技師能力検定試験」のご案内

【一次試験】
　上級医療情報技師能力検定試験の一次試験では、上級医療情報技師の定義ならびに上級医療情報技師の到達目標（GIO・SBOs）に基づき、午前試験・午後Ⅰ試験・午後Ⅱ試験を行います。

午前試験（マークシート方式による筆記試験）：
　上級医療情報技師の到達目標（GIO・SBOs）に掲げる内容のうち、基礎的な知識を確認します。
午後Ⅰ試験（マークシート方式・記述方式による筆記試験）：
　上級医療情報技師の到達目標（GIO・SBOs）に掲げる内容のうち、総合的な知識の確認を行います。
午後Ⅱ試験（小論文試験）：
　医療情報技師に求められる3C(Communication, Collaboration, Coordination) の資質の中でも基本となる、自らの考えを文書により他者に伝える能力を確認します。

【二次試験】（医療情報に関する活動履歴書にもとづく個別面接試験）
　上級医療情報技師能力検定試験の二次試験では、上級医療情報技師の定義ならびに上級医療情報技師の到達目標（GIO・SBOs）および医療情報技師に求められる3C(Communication, Collaboration, Coordination) の資質にもとづき、質問の意図を理解し自らの考えを口頭により他者に伝える能力を確認します。あわせて、医療情報に関する活動履歴書により、上級医療情報技師を目指すための活動について確認します。