日本糖尿病学会
日本高血圧学会
日本動脈硬化学会
日本腎臓病学会
日本臨床検査医学会
日本医療情報学会

 生活習慣病領域では、日常診療、専門診療、地域連携、臨床研究・疫学研究、さらには医学教育や患者教育と、様々な目的で膨大な情報が蓄積されてきた。近年は情報化の進展とともに、データ蓄積の速度や規模はさらに増大している。しかしながら、これらのデータ収集に際しては、項目をどう決めるか、単位やデータ粒度をどう設定するか等の標準化はなされて来なかった。その結果、蓄積されたデータの相互利用、合算統計などは困難であり、情報化のメリットを享受しにくい状況にある。
 この状況から脱し、効率的な医療情報の利活用を進めるためには、対象疾病に関する専門医だけではなく、生活習慣病患者を診察している多くのかかりつけ医からも関連する医療情報を標準化された形式で収集でき、かつその恩恵を診療や研究において享受し得る仕組みを構築することが必要である。そこで、2011年度から日本糖尿病学会、日本高血圧学会、日本動脈硬化学会、日本腎臓学会、日本臨床検査医学会、日本医療情報学会が内閣官房IT担当室(当時)と連携して、糖尿病、高血圧症、脂質異常症、慢性腎臓病(CKD)の4疾患について、どのような目的のデータ収集にも含むべき「生活習慣病コア項目セット集(「疾患ミニマム項目セット集」から2018年に改称)」と、この生活習慣病コア項目セットを含み、軽症の生活習慣病患者が自己管理をするために有用な項目セット「生活習慣病自己管理項目セット集」を各学会理事会の承認の下、2014年2月までに策定し、日本医療情報学会のWebサイトに公開した。
 さらに、2016年度からは、上記6臨床学会がAMED事業「医療保険者・疾病管理事業者・医療機関等が連携した生活習慣病重症化予防サービスの標準化・事業モデル創出を目指した研究」の支援を受けて、「生活習慣病コア項目セット集」および「生活習慣病自己管理項目セット集」の改訂(*1)、および「生活習慣病自己管理項目セット集」に基づき、「Personal Health Record(PHR)推奨設定」の策定(*2)を行った。これらはいずれも、各疾病担当臨床学会理事会での承認を得るとともに日本臨床検査医学会と日本医療情報学会理事会においても4疾病全てのデータセットの承認を得た。PHR推奨設定は、先に策定した項目セット集を生活習慣病の予防・管理において利用いただくための参考指標として策定したものである。この度、ここに公開させていただくこととした。
 また、日本臨床検査医学会が策定している臨床検査項目分類コード第10版(JLAC10)のうち、「生活習慣病自己管理項目セット集」に対応する主なものの一覧表(*3)も作成したので、あわせてここに参考資料として公開させていただくこととした。
 なお、これらの内容は医療・技術動向や各種指針等により、今後、変更される可能性があることに留意いただきたい。

 当「PHR推奨設定」は、あくまでPHRシステムの利用における参考指標集の1つであり、個々の患者の治療目標や治療手段の最終判断は、容態、病態等に応じて、直接の担当医の判断・指示のもとに行うものであることを明記するものとする。

 

*1:「生活習慣病コア項目セット集(第2版)」および「生活習慣病自己管理項目セット集(第2版)」(2018年10月公開)
改訂の目的
生活習慣病コア項目セット集(第2版)および生活習慣病自己管理項目セット集(第2版)

*2:「PHR推奨設定」第1版 (2018年10月公開)
策定の目的
PHR推奨設定(第1版)

*3:「生活習慣病自己管理項目セット集」に対応する主なJLAC10コード(Ver1.0)(2018年10月公開)

旧版:生活習慣病4疾病の「ミニマム項目セット集」および「自己管理項目セット集」の公開について(2014年7月公開)

 

以上